私が考えている「京都の聞き書き絵本」、それは...
『ご自身で思いを「書き、まとめる」ことが難しい人の手となって
思いを聞き、書き、共有し、カタチにすること。
そして、その時に応じて、ファンタジーをとりいれ、自分史や自分史絵本を作ること。』
ご依頼を受けて、いろいろな方々の人生や思いを、その人らしい本に仕上げています。本といっても数冊か数十冊しか作らないプライベートなものがほとんどです。
一定のスタイルにとらわれず、あくまでも「聞き、内容を共有し、一緒に考えつつ作り上げること」を基本に考えています。
まずは語っていただき、それが私の耳と手によって文章になります。
その文章を読んでいただき、どこが間違っているのか、何が足りないのか..など、さらにお尋ねしながら、内容を深めていきます。
試行錯誤しながら、文章を一緒に作り上げるうちに、だんだん語って下さる方の頭や心が整理されていきます。その過程を出来る限り大切にしています。
どなたの人生も、簡単にまとめることができるような、短いものでないのは確かです。でもあえて、エッセンスを取りだし、読みやすいシンプルな本になるよう、コンパクトに整理することを心がけています。
読み手となる人が気軽に本を手に取って読み、そのことを語り合えることも大事だと思っているからです。
ケアマネージャーの仕事をしていた私は、ある日、自分のライフワークに気付きました。そして、この道の模索がはじまりました。
2001年頃のことです。
でも、前例はほとんどなし。
そんな仕事ができる職場なんて、もちろんありませんでした。
勤めていた老人福祉施設は、介護保険の大波が押し寄せた頃。
現実ばなれした夢を追い、私は小さな小舟で、沖へと船出をしました。
こちらから、「聞かせて下さい。そして書かせて下さい」とお願いをして、本を作らせてもらったのです。自分で縫って綴じた小さな本が、はじまりです。
20以上の本や小品が出来上がり、十年以上が経って。
2011年に、ようやく仕事として独り立ち、起業しました。
その頃も、同じような活動をしている人は、ほとんどいませんでした。
ただ一人で、こつこつと続けてきたのです。
歩みながら、気付いたことがあります。
私のような活動に興味を持ち「ぜひ お願いしたい」と思って下さる人。
それは、決して多くない ということ。
何十人、何百人に伝えても、振り向いて下さるのは、ごくわずか。
でも、その ごくひとにぎりの人たち。
「私が探していたのは、これです!」と言う人たちに、迷いはありません。
決して多くはないけれど。
その運命的な出会いは、必ずあるのだという確信を得たのです。
その人たちに出会うため、勇気を出して続けよう、と強く思いました。
今までに作ってきた本は、50冊を超えました。
次々といただくご依頼にこたえながら、ただ、黙々と没頭していた私。
ある時、ふと立ち止まってまわりを見渡して、驚きました。
「インタビューにより自分史を作る」という仕事をしている人が、増えているのです。時代の流れでしょうか。
そうなった今、「京都の聞き書き絵本 ってなに?」と、問い直しています。
私はこの仕事に対して、あくまでも「職人でありたい」と思っています。
依頼して下さった方の思いをじっくりと聞き取り、まだ無意識である希望を引き出し、形にしてゆくこと。
しっくりこないことがあれば、何度でも丁寧にトライすること。
そして、満足していただけるものを作り上げること。
そうやって、誠実に取り組んでいきたいのです。
こんなスタイルでは、非効率です。
もっと効率的に...スタイルを決め、ページ数を決め、回数を決め、時間数を決めて..枠を決めれば、ビジネスとしてやりやすくなるでしょう。
でも、お一人お一人の人生が千差万別なのと同じように。
求めておられるものも、お一人お一人違います。
私の持つスキルは限られていますが。
その中で、最大限自由な発想で、臨機応変に対応したいのです。
作った本の一部を、公開しています。
『ききがきミュージアム』
そんな私の「職人魂」を、本を通じて知っていただけたら幸いです。
絵を担当する夫、古橋博昭の助けを得ながら、たった一人でやっていますから。
そして、丁寧に一つ一つ向き合いたいから、時間をかけています。
お待たせすることも多いのですが。
でも、急ぐことで質を落としたくはありません。
それが、私の思う「京都の聞き書き絵本」です。
NHK京都「京いちにち」 および、「NHKおはよう日本」で取り上げていただきました。
なかなか説明しにくい私の仕事を、丁寧に取材し、うまく様子をまとめて下さいました。まさに、いつもこんな感じで仕事をしています。ご覧ください。
ご興味のある方は
メディア紹介など も、 どうぞご覧ください。